概要
京都大学文学部に入学し2年間勉強した後、1年間休学して2021年に京都大学工学部情報学科に入学しました。2025年3月24日をもって卒業しました。 高校・大学生活の振り返りを書いています。
高校時代
中学からの惰性で水泳部に入りました。特に優れた選手ではありませんでしたが、部活ばかりに打ち込んでいました。入学してからは勉強にはあまり手を付けなかったため、物理の斜方投射 (斜めに物体を投げる運動) や数学の三角比が理解できませんでした。自分には理系は向いていないと感じたため、1年生の中ごろにして文系を選択することを決心しました。
学年が進むにつれ数学は楽しくなったものの、理系に転向することはありませんでした。卒業後の就職も少し考えていましたが、結局大学の文系学部を受験することになりました。当時は英語に興味があったので、大阪大学の外国語学部を検討していました。しかし3年生になって、言語の運用を勉強したいのか、言語の構造を勉強したいのかで悩み、後者を選択して京都大学の文学部に進学することになりました。
学部時代 (文学部)
文学部では、言語学 (特に、音声学や音韻論) を勉強・研究することに決めていました。ところが、講義開始から2週間経ったころ、勉強内容に全く興味を持てないことに気づきました。 当時の自分は、言語学で発見されたキャッチーな現象を鑑賞しているのみで、そういった現象はどのようなプロセスを経て見つけられるのか、またそのプロセスにどの程度の苦労が伴うのかを全く理解しようとしていませんでした。そのため、自分で手を動かして能動的な学びを得ることはなく、不完全燃焼していました。
そのまま2年間過ごしていましたが、2回生の後期ごろには文学部から離れたいと感じていました。いろいろな思いが積もっていたのですが、決定打となったのは英語で詠む俳句を扱う講義でのことでした。自分の解釈が誤りと伝えられた際に、その理由が明確に説明されず、もやもやした気持ちが残ることが何度もありました。当時は「作品は、それ自体の内にすべてを説明する責任を持つべきで、解釈が一意に定まらないのは非合理的だ」と考えていたことを覚えています。
法学で過去の判例から解釈を作り上げるのと同じように、文学でも過去に触れた文章から解釈を作り上げていく面はあるでしょう。したがって、自分がスタンダードな解釈をできなかったのは、単純にインプット不足に起因するものだったということになります。 これまでの蓄積を活かして工夫を重ねることで、よりスタンダードな解釈やより洗練された表現が可能になるのは何においても当然のことといえますが、当時の自分はこのことに気づかず、このまま学びを続けて良いものかと悩んでいました。
それからというもの、自分が本当にしたいことを考えていましたが、あるとき言語を機械的に処理することに強く惹かれました。特に、音声認識がどのように行われているのかに興味を持ったため、今後の学びの方針について言語学研究室の先生に相談してみました。すると、「このような分野で言語学の知識を援用することはほとんどなく、大量のデータを活用して処理する時代になっている」とのことで、文学部で適切な指導を受けることは難しいと判断しました。 周囲の友だちや先輩にも話を伺ったところ、情報系が最適であるとの結論に至り、再受験を決心しました。受験する大学も少し調べましたが、通い慣れていて雰囲気も好きな京都大学が良さそうということになりました。 他の選択肢としては総合人間学部への転学部がありましたが、特色入試という方式で小論文を2つ3つ書いて文学部に合格したため、入試科目の不一致から認められませんでした。
再受験
両親に再受験の相談をしたところ、文学部を卒業してからでも良いのではと諭されました。しかしながら、一刻も早く状況を打破したかったため、ぜひ来年度受験したいと説得しました。Word や PowerPoint で資料を色々作って帰省したことを覚えています。その結果、「1年だけかけるのであれば再受験して良い、その間は休学し、予備校に入れてやるから本気でやれ」ということになりました。 このときの両親の提言には感謝してもしきれません。
物理や化学・数学Ⅲはほとんど勉強したことがありませんでしたが、予備校で新しいことを学ぶのは楽しかったです。プレッシャーはあったものの、無事工学部情報学科に合格できました。
学部時代 (工学部情報学科)
新型コロナウイルスの影響で、講義開始後2週間程度でオンライン体制に移行しました。この期間に非常に大きな価値があり、多くの友だちと知り合うことができました。2~3学年上であるにもかかわらずフレンドリーに接してくれた学科同期は、昔も今もありがたい存在であり続けています。今でもたまに年齢イジリをされますが……。学部では、苦労をいとわず積極的に手を動かすことの重要さ、また多方面での同期の優秀さを身近に感じることができ、とても意義のある日々を過ごすことができました。
学部生活において、自分の生活の指針となっている言葉が1つあります。 1回生前期の少人数講義でのことだったのですが、4回生配当のセミナーに参加する機会があり、当時 PFN に所属されていた比戸さんが講演にいらっしゃっていました。 ためになることは多くありましたが、中でも講演の終盤で「学生時代の時間は有限。どのカードを切るかはよく考えたほうが良い」とおっしゃっていたのを、今でも鮮明に覚えています。 自分は入学以前に目立った成果を上げたわけでもなく、際立った能力もなかったため、4回生での研究開始までに何をしたものか悩んでいました。要領の良さや物事の理解の深さでは周囲に遅れを取っている自覚があり、学科のカリキュラムを実感を持って学べたとはとても言い難いですが、この言葉を時たま思い出していたことで、自分にしては有意義な4年間になったと感じています。
入学当初は Windows と Mac の違いも理解していなかった自分が、学生実験やアルバイト・趣味のコーディングを通じてある程度の規模のプログラムを書けるようになったことは、大きな財産の1つになりました。エンジニアのアルバイトは、お金をもらいながらスキルを身につけられる点で、貴重な経験になると思います。学業との両立には注意する必要がありますが。
研究室は色々迷いましたが、入学当時からの目標通り音声メディア研究室に所属し、音声認識を勉強 (とても今のレベルでは研究とは言えない) することになりました。指導教員の河原先生はいつでも相談に乗ってくださいますし、修士・博士・研究員の方々のお話もためになることばかりです。他の先生方・先輩方・同期の人たちも仲良く接してくださって、温かい研究室だと思います。自分が研究が好きなのかは未だ分からず、単に手を動かしているのが好きなだけかもしれません。しかし、卒業研究と称して行っていた活動は楽しく、今後も学術活動は続けられたらと願っています。
学士論文の執筆と学会への投稿を経て、現在は息抜きのため周囲の人たちと食事や旅行に行ったりしていますが、こうはしていられない、もっと研究のための時間を取りたいという気持ちが日増しに強くなってきています。春休みが明けた後は生活スタイルや予定の立て方を見直し、自分の使いうる時間を有効活用していきたいです。 4月からも同じ研究室 (情報学研究科知能情報学コース 音声メディア研究室) ですが、修士課程の学生らしい実感のある学びができるよう、邁進していきます。











